hearing the unheard voices

小鳥たちと対話し、自然と人とが調和できるバード・サンクチュアリを創立しています。http://homepage2.nifty.com/birdsanctuary/index.html

危機一髪!

長月に入ってから、bird sanctuary しっとりとした秋模様です。

それでも、陽のある方へ陽のある方へと、丈高く競い合うように伸びて、花穂をつけ実を結び大地に種を落とそうとする草たちの勢いはまだ衰えておりません。草の実は鳥たちの頼りにする冬の食糧ですし、すべての命が愛しいので、隣地に接していてご迷惑になりそうなところ、ヒトの出入りする場所以外、草木はなるべく刈らないのが sanctuary の基本方針です。それ以外にも、木々の成長のためには陽当たりや風通しを良くし、あまりにも増殖する外来種や他の生命を駆逐する植物には少し遠慮してもらいます。そして、なるべく多種多様な生き物が棲める場所へ、将来的には沢山の野鳥たち野生生物たちが頼りにできる場所へ向かうベクトルを模索しながら、必要な草刈りや剪定をするのは夏をピークとした大仕事です。

・・・ と、理想の響きは良いのですが ―― 草刈り大変です~(溜息)。孟宗竹や藤や葛やセイタカアワダチソウの勢いは、何もかもを圧倒するほどで、対処追いつかないです~(悲鳴)。体力切れです~(涙)というのが、春から夏の現状でもあります。

今年は春から、何故か畑地のところの草刈りに手をつけられなくて ――  というのも、隣地との境と通路の草刈りと、どんどんと手前に前進してくる孟宗竹を何とかするのに兎に角精一杯だった、ので ―― ずっと、畑地に植えた木々を覆っているであろう葛や藤やヤブガラシを払ってあげなければ木々たちが可哀想、その奥にそびえてしまった竹を整理しないと、全く陽が当たらない、というのが気になっていて ――  そのために、そこに辿り着ける径を開くだけは下草を刈らなければと、昨日ようやく枝を払いながらエンジン刈り払い機で草刈りを始めました。

下枝を払いながらほんの少し進んだとき、大変なことが起こりました。

「あッ!」と叫ぶのと、

何者かが強いエネルギーを発するのと、

枝の下草のあたりに何かを感ずるのと、

がほぼ同時に起こりました。

その次の瞬間、

刈り払い機の丸い刃の近くに異形の「何か」が見えるのと
(わずかグレー/土色の大きめの箱のようなもの)

強いエネルギーを発した何者かの攻撃スイッチが入るのと、

全身が驚愕と危機感に囚われたのが、

これもまた同時で、とんでもない事態となったのが見て取れました。

ほんの1秒くらいの出来事です。


そこにあったのは、スズメバチの巣!
二年前にそこから2mくらいのところにある、物置小屋に巣を造ったあの蜂(キイロスズメバチ)です。

2017suzumebachi
 (二年前に造られた巣)

まさか、こんな、地面と接して木の下枝と地面との間に隠すように巣を造るなんて、知らなかった!!(後で調べると、木のうろとか、地面際とか、色んな所にも巣を造るようでした。二年前に巣を造られて、どうするかで散々迷い、共存することにしたときも、いろんな方のご意見を伺い、調べるには調べたのですが、こんな場所に彼らの巣があるなんて想像もしていなかった ―― 良い勉強となりました。)

2017suzumebachi
 (地面際に造られた巣。
 写真では見えにくいですが、
 写真真ん中の緑の茂みの中です。)

しかも、物置小屋に出入りしていて、すぐ近くの樹の剪定までしていたのに、何のサイン(警告、威嚇)もなく、姿も見せなかった。二年前の経験から、ここまでひっそりと暮らしているとは、思いもしなかった!! (二年前に、共存を決めたときも、巣を攻撃しなければ/されると感じるようなことをしなければ、基本はおとなしい [勿論、それでも事故がないとは限らないので、重々注意が必要です。] と教えてくださる方がいて、事実そうだったので、今年もわたしが近くを行き来しても彼らの「敵」となることはなかったのだろうと思います。むしろ、人に知られず春夏秋の間の短い一生を無事過ごしたかったに違いありません ―― こちらが、うかつだったのです。本当に良い勉強となりました。)


その次の瞬間、手遅れにも、既に刈り払い機の刃が軽く彼らの巣に当たり、“ぼよん”という何とも言えない手応えがあり、巣の警備団たち(6~7匹の彼ら)がボアーンという警戒音を挙げて一斉にわたしに向かってきました。何故、刈り払い機の刃に向かわずに、わたしの頭や首や肩のあたりにやってきたのか、今思うと不思議ですが、彼らには攻撃元も何に立ち向かえばいいかも的確に分かっていたのです。

「キャッ」と悲鳴を上げましたが、同時にわたしは蜂や虻が威嚇してきたときの体勢 ―― ひたすら姿勢を低くする、手を振りあげたりしない、おとなしくして気配を鎮める ―― をとっていました。いえ、その体勢をとったのは確かですが、地べたにペタンと低くなって、事実から言えば、もう腰が抜けた感じでした。

半分幸運なことに、この時期は蚊が多いので、わたしは防虫網つきの帽子をかぶっておりました。しかし、蚊よけしか考えていなかったので、帽子も深くかぶってはおらず、髪が帽子からはみ出ている状態で、着ているのも薄手でやわらかい長袖のシャツで、座り込んだときシャツがズボンから出るかでないかの状態でした。

その状態で、ハチたちのあの黒い姿、黄色の顔が、自分の帽子の網越しにこちらに向かってくるのが ―― 恐怖からこうなるのでしょうが、スローモーションのようにじっくり、はっきり眺められました(よく映画で、誰かがピストルの引き金を引くと、弾丸が飛んでくるさまがスローモーションになりますが、あれって、リアルにそう感じられるのかもしれませんね。) 「刺される!」と思いました。「スズメバチに刺され死亡。草刈り中の女性。三日後に発見」という新聞記事の見出しが浮かびました。ハチたちは頭の上、首の後ろ、肩や背中のあたりにやってきました。シャツは薄いので、背中を集中攻撃で刺されれば一発で終わりです。しゃがんだときに、帽子が緩くなりかぶり直しましたが、頭や首の周りにいるハチがその隙間から入ってくれば、顔までやってくるかも知れない。どこを刺されてもおかしくない。シャツとズボンの隙間は大丈夫だろうか。ああ、つくづくもうちょっとしっかり帽子をかぶり髪も結わえ、厚手の服を着て、ズボンをひきあげておくべきだった。

ここまでが、たった三秒の出来事でした。


彼らの怒りのままに(怒るのは当然です。わたしのうかつさで自分たちの巣が攻撃されたのですから)、ブンブンたかっています。そのままじっとしていました。その気配は遙か長いこと続くように感じられました(実際は5分少しだったと思います。) それから、永遠に続くか、それとも実はもう刺されていて痛みを感じないほどの意識となっていてこのまま意識が遠のいていくのか(←すごい想像力です)と思ったその時間が過ぎて、音がせず気配がなくなったので、そっと地面を這うように、ゆっくりゆっくりそこから遠のきました。2~3m離れた上空を、警備団、偵察隊が飛ぶブーンという音が聞こえます。ですが、巣から離れなければなりません。這うようにして移動、というのは振り返れば正解だったと思いますが、どこかで立ち上がろうにも、腰の力が抜けてもいたのです。

―― 彼らは、刺さなかったのです。

何とか玄関まで這っていって、家に入って、お風呂場まで行きたいと思いました ―― (あまりのショックで、背中にまだ一匹いないだろうか、防虫網に一匹潜伏していないだろうか、という過剰な恐怖が消えなかった。) ―― が、怒りの警備団がどうするのか見届けなければという気持ちもありました。

二年前に彼らが巣を造ったときは、ネットで調べると、ハチの知識がない人が巣を叩き落としたりすると、攻撃のスイッチが入ったハチがその信号を仲間に伝え、信号を受け取った仲間たちが近隣の人たちまでも襲うことがある、という記事がありました。怒って出てきた6~7匹の彼らの怒りは鎮まるのだろうか。彼らは巣に戻ってくれるんだろうか。

―― 案の定、攻撃に出たらしい一匹が、敷地入り口にまだペタンと座り込んでいるわたしの帽子に再び止まりました。巣からの距離は十分にあるその場所からは、道路を隔てて稲刈り作業をしている近隣の方や道路を歩く人の姿が見えます。どうやらそこまでは飛んでいきそうもない、でも、まだ安心できそうもない。その一匹は、帽子の上を歩いているのですが、「カチカチ、カチカチ」という威嚇音が聞こえます。まだ、この帽子?あるいはその下のわたしの匂い?が、巣を攻撃してきた敵だと分かるようです(ごめんなさい)。 早くシャワーを浴びて匂いを落とし、帽子も替えたいです …?

道路まで飛んでいきそうにないので、いったん家の中に入って実際にシャワーを浴び(!)着替えて(厚手のレインコートを着て)、双眼鏡をもって敷地入り口に戻りました。ペタンと座ったまま双眼鏡で巣を観察すると、平常活動をしているハチたちもいました。(全員戦闘態勢、全面攻撃、とはなっていないようです。)刈り払い機の刃が当たった蜂の巣も、大丈夫なようです。ということは、あの、怒って飛び出てきたハチたちの怒りが鎮まれば、大丈夫そうで、後は、しばらくの間は重々気をつけ、今シーズンは極めて慎重に(ハチたちの記憶があるので)振る舞えば大丈夫でしょう。ちょうど合宿で、菅平に行ってきたばかりですが、『自然との対話』をするにあたり、参加して下さった方に直に色んな自然に触れていただくので、当然こうした危険に対しての下見や下調査が必要です。前日にロッジの支配人S様に今年のスズメバチの様子も伺いました。その時に出た話ですが、支配人のS様は、ロッジの安全性を考えて毎年ロッジの石壁に造られる蜂の巣を取り除く係で ―― それ故、ハチたちは‘覚えていて’彼を見ると、(他の誰でもなく)彼に向かって攻撃してくるそうです。そういうことは、ここでは起こっていないので、ハチには記憶があるのでしょう。気配(そのヒトが自分の巣を壊そうとしているのか)を読む力もありそうです。

一匹、二匹、警備団かも知れないハチを眺めると、飛び回っているけれど、もう怒りの気配は消えていました。近隣に飛んでいって刺す、ということはないでしょう。

ここまでで、約1時間の出来事です。


あ~!! ショックだった。

何年か前に、夜中に特大のムカデがふくらはぎのあたりまで登ってきたことがあったけれど、それを遥かに超える危険でした。あの時もそうだったけれど、奇跡的に事故になりませんでした。

それでも、だからこそ、気を引き締めていこう。今回の教訓として、草刈りの時には慎重に下見をして、危険回避をしよう。あんな場所に巣を造るとは予測していなかったけれど、まだまだ知識不足、経験不足のところがあると胆に銘じて、それらを少しでも埋めていこう。あそこまで来て、彼らが実際には刺さないでくれた ―― というのは運が良かったのだけれど、わたしはまだ彼らのことが分かっていない。振り返れば、圧倒的な恐怖の中でもじっと低くしているという、とっさに無意識にとれた行動(生命の智慧)もありがたかったけれど、わたしが彼らの声を聴き取り、互いの危険を回避し、互いにベストの道をとる、という意味では、そもそも巣に気づけなかったというのは、大いに反省の余地がある。


最後になりますが、 ‘腰が抜ける’という感覚も文字通りそうなるのだなあ、と分かりました。そのままにしていても腰に力が入らない状態が続きます。拳で仙骨の辺りをトントンと叩いたり、拳骨をつくって丹田をぐっと押したりしてようやく力が入るようになりました。丹田に力が入るようになったら、そこに力を入れて大股で歩いていると、腰全体にも力が戻ってきました。


―― 彼らは、刺さなかったんだ。

何が生きものに、そうさせたのでしょう。
彼らが刺して、わたしが殺されたら、発見した誰かに彼らも駆除されたことでしょう。
わたしは巣を破壊するつもりはなくて、ただ、うかつに壊すところだった。分かった瞬間、止めて退いた。二年前、彼らと共存する決意をして、ひと夏の間、物置小屋付近を彼らに貸した。その時のわたしの姿と匂いを知るのは、昨年の女王蜂だけのはず。今年は、一切気づかないまま物置小屋に出入りをしていた。刃が巣に当たったとき、強い信号に素早く飛び出し一斉にやってきてわたしの周りを飛び交ったのに、彼らは刺さなかった。最後に帽子に留まったハチは、カチカチと威嚇音を鳴らした。でも、刺さなかった。(一方で、何もしなかったのに、事故としか言えない状況で刺された、という話も耳にしますので、皆様はくれぐれも、重ねてご注意をされてください。) ―― 彼らはどこで、何を見極めたのでしょう。




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タヌポンご一家

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タヌポン一家、毎夕訪れてくれています。… というよりは、この地は、ずっと彼らにとっての大切な住処なのでしょう。(わたしを含めた、人間以上に。)その住処で夕暮れを楽しんでいるのでしょう。

小さな子どもたち四匹の個性が分かってきました。

白い顔、綺麗な逆三角形の頭をして目のぱっちりしたリーダー格の子。
同じく白い毛の目立つ、小顔で整った顔立ちの子。
茶色い毛の、細面で(子供時代の黒ちゃんのように)やや寄り目の子。
黒っぽい毛の多い、控えめで独りを好む子。

韃靼そば(上の写真でハート型をした葉の草)の生い茂っている辺りの声をかけると、大体はこの順序で現れます。

リーダー格の子はとても利発そうで、一人でも現れるし、話しかけるとわたしとしっかり目を合わせて聴いています。相手のことや状況をちゃんと捉えて、行動しています。一方、黒っぽい毛の控えめな子は、一人はなれて遠くから他の子たちの様子を見ていて、とても用心深くてなかなかやって来てくれません。でも、仲間やわたしをじっと見ているのです。

初めて出会う、自分たちより遥かに大きな‘ニンゲン’に対しても、その目をしっかりと見て、意思を読み取ろう(「あ、自分のことを見過ごしているから危険はないのかな」「れれ、何か美味しそうなものをくれるのかな」、等々)とするところに、とてつもない知性を感じます。

インターネット上にもタヌキ好きの方たちが教えてくださる様々な観察記録がありますが、それでも、子どもの頃からタヌキにこんなに個性の違いがあるなんて、知りませんでした。とっても素敵です!!(鳥もまた、雛の時から個性豊かなので、驚くことではないのかもしれませんが。)

時折、お母さん?(お父さん?)らしきタヌキが、背後で見守っています。近くでわたしが作業していても四匹が自由に遊ぶのに任せてくれているのが、信頼してくれているようで、ちょっとドキドキします。ここは安全、と認めてくれたのでしょう。お母さん?(お父さん?)の顔は ―― 頬を中心に海老茶色の毛で、何だか笑っているような愛嬌のある丸顔です。



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タヌポンポン!!!

Sanctuary でも授業準備や事務作業、アルバイトなど、デスクワークで結構いっぱいいっぱいなのですが ―― それでも少し早く陽が翳り始めるようになった四時や五時を見計らって、エイッと掛け声かけて山作業を始めます。

今はあちこち緑の壁ができ、緑の城となって世界中が緑で埋め尽くされそうなほど草木が生い茂っていて、それはそれで良さそうです。が、お客さまのいらっしゃる通路や周囲との隣接地帯、ヒトの出入りの小道や鳥さんたちの水場のスペース、或いは茂りすぎてしまった場所などの草刈り、つる草に絡みつかれてしまった苗木たちの救出、日当たりを求め競い風通しの悪くなってしまった木々の剪定など、急ぎの仕事もあります。大地に植えられるのを待っている沢山の鉢植え、桔梗やヤマアイなどの野草やハーブ類、自家採取を目指している幾つかの野菜たちも、夏に適した場所への移植や移動、水枯れさせない注意が必要です。奥の竹林に生い茂っている竹やシノダケは … 追いつきません。

そんな作業をしていると、今月は度々、タヌポン(少し前まで「黒ちゃん」と呼んでいましたが、今は「タヌポン」と声をかけます)が現れます。目力があり、気持ちで前へ前へと出てきてしまうが、反応動作が結構鈍くてオトボケナ感じが黒ちゃんとよく似ています。でも、「彼女(彼氏)ができるのかなあ?」と心配してしまった黒ちゃんにも増して、あの、ブサ…、いえ(焦)、愛嬌のある顔つきです。

ところが今宵、作業の傍ら、「キュルル」「グゥ~」と何か動物的な、動物の情緒的な鳴き交わしの声が聴こえていました。いつもと違う、ちょっと不思議な雰囲気です。そして暮れなずむ近くの茂みに小さな動物が動き回る気配がします。現れるのは … タヌポン!! … かしらと声をかけると、いつもと違う場所に登場しました。と思うと、いつもの場所で何やら小競り合いの声 ―― こちらにも、タヌポン!! 小競り合い、軽い威嚇をしている相手は ―― 決して負けぬ気の強さだけれど ―― あらら、ものすごく小さな、赤ん坊のタヌキ!! 

タヌポンも子どもらしいけれど(でも白ちゃん、黒ちゃんを兄弟だと思っていて、後から親子なんじゃないかと推測し直したので、わたしの見立ては当てになりません)、それより二回り以上小さな、小さな子タヌキ … 何と、タヌポンに弟か妹が誕生したのでしょうか? ―― 手帳くらいの大きさです。同じ時期に生まれたのではない気がするけれど、大小の差をもろともせずに、対等に渡り合っています。

この赤ん坊タヌキの出現だけでも驚きでしたが、さらに不思議なのは … ええと、ええ~っと、よ~く見て ―― 

タヌポンは二匹います。

かなり愛嬌のある顔立ちだなあ(鼻の回りの色が濃くて、何となく墨の中に顔つっこんだよう)と思っていたいたタヌポンと、ちょっと可愛い目のタヌポン ―― どうもやや大きいタヌポンは、実は二匹いたようです。

―― ということは、タヌポン二匹(笑)と、赤ん坊タヌキ!!

7月になってから逢っていたのは、タヌポン二匹(どちらの顔も、区別しようと思えばでき、両方とも見覚えアリ)と、新しく逢うことのできた赤ん坊タヌキだということらしいです。わたしの識別能力はまだまだで、タヌキの世界は奥が深い。

タヌポンも、タヌタヌも、コチビも(←と、もう勝手に呼んでいます)、どうも黒ちゃんと似ていて、多分、黒ちゃんと近い繋がりがあるか、黒ちゃんが何かの形で戻ってきてくれているのだろうと想います。この森がある限り、黒ちゃんは(白ちゃんも)ずっとここにいてくれるということなのだろうし、この森がより豊かな深い森となれば、そんな仔たちの息づかいもより豊かに深くなっていくのでしょう。

この森(かなりは荒れた竹林ですが)をずっと守ってゆこう。

タヌキが豊かな夏のことでした。





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ユウスゲ

水無月も終わりに近づいて、ユウスゲの花が一夕おきに開いています。

夕暮れとなって開くこの花は、希望の灯みたいで、その温かくほど良い陽のいろを両手に包みこみたくなります。

ユリ科のこの花の香りが大好きで、絶やさないよう鉢植えにしています。
瑞々しい、胸の底を揺らすような、清い優しい甘さです。

yusuge


夕暮れとなると、奥の竹林へと通ずるアーチの下の草の茂みから、タヌキが一匹現われます。草の中にほとんど隠れているのでよく見えないのですが、鼻筋のあたりから黒い顔をしているので、ちょっと大きくなった子ダヌキでしょう。

友達だったクロちゃんは、今年2月に現れたとき、ひどい疥癬にかかっていました。3月になってそのあまりのひどさに、野生動物に詳しい方々や尊敬するお医者様に相談しながら、どうすればいいのか悩みに悩み、決意してお薬を飲ませたりしました。

薬自体、症状によって結果としてどう出るかが難しく、試みた量は適切だっただろうと言っていただいたけれど …。 もうこれは本当に、できることなら何でもしたいけれど他にどうすればいいのか途方に暮れて(ネットで調べて、行政や動物病院の対応や、野生のタヌキを保護され助けられた方々のブログや、保護したなら連れていけるであろう病院なども探し)、クロちゃんが逃げない距離で幾たびか対話しましたが、(薬に賭ける以外に体力に追い打ちをかけずに保護して助けられる術や場所も見つからず)風に揺れる草の中で陽を浴びているクロちゃんを見かけた次の日、冷たい雨が降り続け、その日以降見かけなくなりました。

雨の中、傘を差してクロちゃんの名を呼び、夜は懐中電灯でねぐらのありそうな場所を歩いて名を呼びました。

あんなに辛そうだったのだから、できることなら陽を浴びていたあの時、もっと長いこと傍にいて、できたらギューッと抱きしめたかった。(ですが、野生動物としての野生の気ままさと尊厳を保ったまま、クロちゃんが現れなくなったことは、クロちゃんを護って下さる何かの意志かも知れない。)

その後もずっと、クロちゃんが現れるアーチの下に向かって、夕暮れ時になると「クロちゃん」と声をかけ、ほんの少しばかりのおやつをそっと置いていたのです。

―― 友だちがよくなって現れてくれることを願って。


今は、「クロちゃん」と呼ぶと、顔の黒い子タヌキさんがアーチの下から顔をのぞかせます。

タヌキは、冬になると何匹も現れる日がありますし、この地で子タヌキは何匹も見かけました。ですが、ヒトが声をかけたのを聴いてくれて、「何?」とそっと反応してくれるタヌキは、これまでに最初出逢った男の子とシロちゃんとクロちゃん、そしてこの子タヌキだけです。

子タヌキはクロちゃんではない ―― というのが現実的な人の見方だと想いますが、クロちゃんは何らかの形でわたしが独りにならないようにしてくれているのではないか … と感じてしまいます。






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contact

ここのところ土地を掘り起こす工事をしていた方がわかりました。

お昼過ぎの2時頃、PCでメール返信していたわたしが聞いた音は、

ゴンッ!

大きな堅いものがぶつかる音。

ゴンンッッ!!

Sanctuary の敷地内にたった一人でずっと居て怖くないの? と尋ねられることがありますが、怖いには怖いのですが、わたしは音には敏感で、ここで聴こえてくる音は今ではだいだい何の音か、聴き分けられます。ですので、聞き慣れない音がしない限り、普段は安心していられます。反対に、聞き慣れない音が少しでもすると、ビクッとして用心してすぐに確かめずにはいられません。

この、ゴンッッはとても重たいものがすぐ近くでぶつかっている音で、こんな音は絶対に怖いです。さて、何だろう … 音のする西側の窓を通して、昨日ようやく土の中から掘り起こしたとても重たい瓦礫(ブロック片)が倒れているのが目に入りました。

だ、誰が … と窓からのぞくと、あ、アロエを植えた大きな野菜ポットが大っぴらに地面にぶちまけられ、土が掘られて … いましたよ、工事をしていたゲンコウハン。

マーガレットやシロツメクサの辺りでクンクン匂いを嗅ぎながら、何とお洒落なのかロマンティックなのか、彼はタンポポの綿毛をパクンと一口で口に入れてしまいました。それから、今度は倒れたブロック片の近くで日光浴させていた、種まきから芽が出たばかりの青いロベリアの新芽をわしわしと食べ ――

 「あ~~ それは駄目 …」

と思わず口にすると、食べるのをちょっと止めて、風を嗅いで、だけど動じることもなく逃げもせず、また草花の探究を始めました。

こちらにやってきます。今度は西側のグリーンカーテン近くの、大切に大切にしているジュニパーの苗の鉢を倒し、だけど興味はないようで …

 「駄目だよ~」  ← (聴こえているらしいが) ガン無視(涙)

もっとやってきます。匂いを嗅ぎながらです。西側のグリーンカーテンに興味があるのか ―― えっと、えっと、そこは植えたばかりの大切なハヤトウリさんがいるんですよ。

急いで、わたしは勝手口に行って、戸を開けました。
(以下、グリーンカーテン用の網ごしの会話です。)

 「ほ~ら~。」

inoshishi

  ナニナニ? 

 (前にやってきたイノシシ君は、誰かに追われているのか、ここに飛び込んできて、わたしをみると「ウォッ!」と叫び声を出して、ドドドド トットットットッと猪突猛進で奥の竹林まで大変なスピードで逃げていきました。笠間で出逢ったイノシシたちもそのように逃げたので、こんなにのんびりしたイノ君とのコンタクトは初めてです。)

ア、ソウイエバ 鉢イッパイタオシチャッタンダッケ。
トリアエズ、ニゲヨット。

inoshishi2
 (右下は彼の倒したジュニパーの鉢)

inoshishi3
 (右下は彼の倒したアロエのポット)

ダケド、コノヘン モウチョット ミタイナア。
コノバケツ、オモシロイ。

inoshishi4

ヤッパ モウスコシ タンケンシチャオ。
タオスクライ、マ、イイヤ。



あの~ もしもし。

土を掘り起こし、植木鉢を倒しているのですが、以前冬に考えていたように、ミミズ目当てでもなく、二年前にカサブランカの球根を全部食べられてしまった時のように、オイモ(球根)目当てでもないようです。

ここが気に行っているらしいですが、散策しながら、何をしているのかな。

話しかけてみて分かったのは、目や耳よりも、鼻で世界を嗅ぎ分けているということ。
最初、窓から覗いた時も(慣れていない雀たちならそれで逃げる)、コホッとか軽く咳払いするふうに気配を出した時も、殆ど注意に入れてくれなくて、「駄目~」とぼやいた時も、ほぼ無視( って… )。だけど、絶えず風の匂いを嗅いでいる。匂いを嗅ぎながら、移動している、出逢って相手を匂いで確かめている。
 
わたしは、どんな匂いだったのだろう?

今度は、どんな匂いをさせて話しかければいいのだろう?
そして、彼の匂いを、わたしは嗅げるかな?

極めて、呑気そうな、sanctuary で一番大きな野生動物との邂逅でした。







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