hearing the unheard voices

小鳥たちと対話し、自然と人とが調和できるバード・サンクチュアリを創立しています。http://homepage2.nifty.com/birdsanctuary/index.html

『里山生きもの博物記』

「人と、人以外の生きものたちの調和」の場と言えば、日本には伝統的に「里山」という形態がある。そこには、雑木林や田んぼ、畑、民家、溜池や屋敷林、寺社林(鎮守の森)などが点在している。雑木林に降った雨が地中に染み込み、森や土によって浄化された水が流れ出す。そこに人は田んぼや畑を作る。そして稲や野菜の恵みを受け取る。さらに、雑木林は薪や炭となる木や、田畑の堆肥となる落ち葉を与えてもくれる。
 里山では、人は自然の恵みを大切に利用し、生きものたちも人が手入れした環境を利用してきた。カエルが鳴き、チョウが舞い、鳥たちが飛び交って、不思議なことに、人の生きるための営みが生きものの賑わいを生み出していた。里山は、多種多様な生きものを育み、無意識のうちに人と生きものが共生していた。

そのような里山の姿が、関東南部、多摩丘陵の谷戸田(=雑木林からの清流を利用して作られた田んぼ)を例として、生き生きと鮮明な写真と平易な文章で語られている。「里山」という言葉自体は、最近良く耳にするようになり、標題にこの語の入った本も良く目にするようになった。その中でも、写真入りの分かりやすい入門書として最適であり、ページをめくるたびに清流の音や土の匂いと共に生きものと出逢っているような気にさせられる本書、『里山生きもの博物記』はお勧めの一冊だ。

「冬から春」「春から夏」「夏から秋」「秋から冬」と大きく四つに季節で分けられおり、各季節ごとにえり抜きのテーマで里山が紹介される。例えば「冬から春」 --ちょうど今ごろですね-- で紹介されるテーマは、

  カエル王国
  冬を乗り越えた虫たち
  鳥たちの多忙な子育て

だが、この季節から鳴き声をあげ始めて谷戸で産卵する様々なカエルたち、春未だ浅い3月にネコヤナギが咲き出す頃から一斉に姿をあらわすアブ、ハチ、チョウなどの虫たち、「ホーホケキョ」のウグイスの声ではじまる鳥たちの恋の季節と懸命な子育ての姿が描かれている。里山のどのあたりにどんなカエルや虫、鳥がいて、どのように移動したり行動したりしているのか、それが人の営みとどう関わっているのかが、鮮明に分かり、とても興味深い。

たとえば、森から絶えず流れてくる水や春の雨の恵み、人が田んぼから水を抜くその時期が、個々のカエルだけでなく、カエルのひとつの種にとって、命に関わるほど大切なことになるという、そのことが、良く分かるのだ。

里山について、人がどのようにしたら様々な命たちと調和できるのかについて、この本は、虫や鳥、小動物の目線から雄弁に伝えてくれる。

また、様々な生きものについて知りたい、と思っても、野鳥、小動物、カエル、チョウ、トンボ、バッタ・・・とそれぞれの載っている図鑑を買うのは大変だが、この『博物記』を入門教科書として活用することができそうだ。里山に生きる代表的な生きものが、うまく選択されて写真で紹介されている。

著者の荘司たか志氏は、会社づとめの傍ら、生きものの調査や自然観察会などの活動を行っている。氏の文章には生きものへの注意深い観察と、感動や思いが、静かだけれどもとても温かににじんでいる。例えば、3ページに渡って紹介されているカヤネズミだが、水がたまった休耕田で、ススキやオギなどの長い葉っぱを縦に裂き、球状に編みこんで”球巣”(たます)をつくり、子育てや休息に使うという。

 ・・・直径10cmぐらいのものが多いが、形や大きさはまちまちである。この球巣はまだ緑色をしているので、できたてで使っている可能性がある。巣の周りの草を踏み倒すと球巣を捨てるおそれがあるため、なるべく倒さずにそっと離れたところからのぞいてみた。カヤネズミは夜行性なので、昼に姿を見ることはほとんどないが、みごとな巣の作り方に感心させられる。・・・(中略)
 体の長さが6cm、それより長いしっぽでオレンジ色。普通のネズミのイメージとは全く異なる、ほんとうに美しいネズミだ。球巣をつくって子育てするという、とても不思議な生態を持っている。巧妙にできた球巣を、あの小さいネズミが完成させていると思うと驚きだ。それも1晩か2晩のうちに。(p.60-61 引用)

急速に変貌を遂げる日本の里山の姿に、そこで人と共に生きてきた生きものたちへの想いが切ない。氏はある日、都市近郊の丘陵では見られるとは思っていなかったノウサギと、谷戸の片隅で出逢い、感動する。

 ・・・あわててカメラを向けると、くるっと向きを変えて逃げ去った。初対面はわずかな時間だったが、いつまでも心の中に充実感が残った。ノウサギの飛びはねる姿はとても軽快で、すてきだった。野生の力強さがみなぎっていた。
 ノウサギの繁殖期は早朝から秋にかけてだらだらと長い。1回に子ウサギを1頭か2頭産むが、生後わずか1ヶ月で独立し、その後、親はすぐに次の繁殖を開始するという。巣がなく天敵も多いので、犠牲を避ける意味で子どもの数を少なくして、回数を増やすようになったのだろう。ノウサギの食べものは草や木の芽である。きちんと手入れされた里山では次から次へとやわらかい草が生えてくるので、ノウサギにはすみよい所だ。いつまでもノウサギがいてほしい。そして会いたい。そんなふうに思っている。(p.58 引用)

いつまでもノウサギ、カヤネズミ、ニホンイタチ、カエル、チョウ、トンボ、バッタ、カマキリ、鳥たち ・・・ と一緒にいられるといいですね。

(荘司たか志 『里山生きもの博物記』 山と渓谷社 2003. 1,600円)

櫻とメジロ

(櫻とメジロ)
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日本野鳥の会 訪問

この月曜日は、自分で“春休み”と決めて休暇を取って、日本野鳥の会(http://www.wbsj.org/index.html)に行ってきました。以前、サンクチュアリについて問い合わせて、親切にご指導いただいたサンクチュアリ室のSH室長にお願いして、my bird sanctuary についての現況と将来をご相談してきました。

待ち合わせ時間は午後からでしたが、緊張して早起きです。11時の電車に乗って、秋葉原、御茶ノ水、新宿で乗り換え、京王線初台駅に着きました。慣れない人込みにちょっと弱ったので、駅前の遊歩道の緑地で一休み。1時過ぎに、日本野鳥の会初台事務所を訪れました。

事務所は(つくば感覚からすると)さほど広くないと感じられる場所に、多くの人が<仕事している~>という感じでデスクを並べ、活気が感じられます。一人一人が大変だけど良い仕事をこなしているように、きびきびした感じです。入り口でやや待って、お世話になった室長にご挨拶して、空室だった大きな会議室に通していただきました。

今回のご相談では、サンクチュアリの将来、すなわちわたしや家族の死後のことも大事な課題となっています。サンクチュアリの土地は、自然や小鳥たちのものです。できれば死後も、そのまま木々がすくすくと育ち、小鳥たちに安心して行き来してほしい。日本野鳥の会を初めとする自然保護団体に寄託するのが一番と考えられたのですが、そもそもそんなことが可能なのか、そのためにどうすればよいのか、どのような方法がベストなのか、そんなことについて、ご助言をいただきたいと思ったのです。
 寄託や税金の制度などのことも含めてご指導いただくために、総務室室長のNH氏も加わってくださりました。

予想通り、サンクチュアリ室SH室長は優しそうな眼差しで、もの静かだけれど自然を見る目は鋭そうな印象。表情がいいです。「ブログ拝見しています」と仰ってくださって、ドキッ・・・!! 総務室NH室長はきびきびして頭が切れそうで、でも芯のところでとてもピュアな印象でした。お二人とも、原野に設立されたサンクチュアリ施設や、森の中の自然観察会でお会いしたら、さぞ楽しいだろうな、きっとファンになっちゃうだろうな、という気がしました。

内容もまだまだ未熟、話も拙くてめげそうになりながら、my bird sanctuaryの動機と現状、問題点を話します。サンクチュアリや野鳥保護のプロに向かって、何と未熟なこと言っているんだ~と半分恥じながら、しどろもどろです。でもお二人は、非常に真摯に耳を傾けてくださいました。

土地寄託に関して、総務室長に幾つかの建設的なご助言を戴きました。土地が残されるだけでなく、定期的に管理をしていかなければ、今の地方の自然は荒廃していってしまいます。人為的に荒らされることもあります。どうすれば一番良い方法がとれるのか・・・ 戴いた案を元に、今後調べたり考えたりしなければならないことがいろいろ出てきました。

地元に溶け込み、地元の方々と調和してやっていくことの大切さも、改めて確認しました。

サンクチュアリの土地は、小鳥や自然のもの。(もちろん人もそこで、喜びをいっぱいに受け止めるのだけれど)。いつまでも安心して、そこで生きていって欲しい。

お二人から、とてもとても温かな励ましを戴きました。「会として、何ができるのか」という前置きは仰りながらも、「是非ともがんばってください」「他の会員さんたちにも励みになります」と嬉しいお言葉。「会員からのこういう希望は初めて」だそうです(もちろん、海外には個人サンクチュアリ private sanctuary はあるのですが・・・比べ物にならない、お金持ちの方のものが多いけど)。
 アカデミズムでは理解されにくい感触のあった、「自然保護といっても生物学や環境保全の専門家ではなくて、自分は文系の人間です。でも文系の人間でも何かできる。今の自然や環境の問題は、人のこころが変わらなければ、と思います。そうした面で、何かしたいのです」という思いも、即座に理解していただきました。

「もしかしたら参考になるのでは・・・」とNH室長が取りに行って下さったのが、柳生博・生和寛著『花鳥風月の里山 柳生博の庭園作法』。俳優の柳生博氏は、日本野鳥の会の現会長です。八ヶ岳山麓で、広大な杉林を明るい雑木林に変えていく活動をなさっています。その広大な「庭園」が有名になって、「八ヶ岳クラブ」として多くの人が訪れます。会長は、今でも暇さえあれば、八ヶ岳で自然を相手に働いていらっしゃるそうです。わたしも本を読んだのですが、こうしたプロジェクトにしろ、現地でどの木をどう選定するかの判断にしろ、柳生氏はものすごく思い切りの良い直観力で決めて、どんどん行動に移していくらしく、舌を巻きます。(他に、都会のビルの屋上を「自然林にする」なんて、すごい発想のすごいプロジェクトも手がけていらっしゃいます)。ううむ・・・

こういう方が会長だなんて、自分が似たことをするかどうかはともかく、勇気が出ます。

一度、八ヶ岳クラブにも行ってみては、とご助言を戴きました。

あっと言う間の1時間あまり、両室長に本当にご親切・ご丁寧なお見送りをいただいて、事務所の隣にあるバードプラザ(会の運営するショップ)でお別れしました。

バードプラザは魅力的過ぎました。たった今、サンクチュアリのことで経済的にもしっかりと切り詰めねば、という思いを懐いたのに、うわ~欲しい本でいっぱい! 
 通常の書店とは違い、書棚は鳥・鳥・鳥・・・鳥関係の本ばかりが揃っています。これは・・・夢に見ちゃうよ、きっと。ずっとここにいたい。
 「文系だけど、鳥や鳥といい関係を持つためにがんばる」という方向で、智慧や勇気を与えてくれる本を絞りに絞って、それでも一抱え! 予算オーバーですよ~。(でも、それって、それだけがんばってやってきた人がいたっていうことじゃない? 嬉しいじゃない? 本を書かなかった人も含めると、遥かにもっと多くの人ががんばっているということだよ) 「無駄遣い」と言われないよう、しっかり読んでこれからに活かします。

両室長、日本野鳥の会さま、こころよりありがとうございました!
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雑木林の春 (3)自然とつながる目に見えない力

ウグイス

(ウグイス K氏撮影)

S先生に my bird sanctuary の進行状況について聴いていただき、候補地も検分して戴いて安心しました。現地を3時半頃出発して、4時過ぎに八郷に戻りました。

奥様お手製の、しっとりした繊細な味のロールケーキとお茶をいただきます。お手製のケーキ、いつも本当に美味しい! 

初めてS先生のお宅を訪れたとき、土地探しや不動産屋さん・小屋を建てる話などについてご助言をうかがっている間、奥様は庭に出てブルーベリーを摘み、台所にいらしたかと思うと--  話が一段落する頃に、美味しいブルーベリーケーキが焼けて、早速お茶と一緒に出してくださいました。なんて素敵!! そしてそのときの感動は忘れられません。

今回もその話が出て、
「あのとき、『わたしがしたいのはこっちの方(=こんな風にブルーベリーケーキを焼くこと)なのよ! 土地の条件や不動産屋さん土建屋さんとの交渉などの大変な話はひとっとびして、一気にここ(=ブルーベリーケーキ)に行きたい!』と思ったんです」
と笑いました。

庭のブルーベリーの実を小鳥たちと分け合って摘んで、彼らを眺めながらケーキを焼きたい!

お話しながら、数々の野鳥の写真を取り込んだパソコン画面を見せていただきました。土地を検分している間、部分アルピノ(白色化)した雀がやって来たそうです。そこから、わたしが、雀と、雀の幼鳥・若鳥、そしてニュウナイスズメと、どの部分が白で茶色で黒なのか混乱たので、確認するために・・・ (ね? そう言われれば、ちょっと難しいでしょ?) 

それにしても、S先生と奥様の智慧、眼識、行動力と一緒だと、雑木林にいても、体験できることが全く違ってきます。花園渓谷にお住まいのSさんご家族と一緒にいるときも何か違うのです。これは何なのだろう? 自分がまるで、違う世界を見ているように感じます。自然と調和して生きる体験の豊かさは、“自然とのつながり方”という目に見えない何かにおいて、人に決定的に異なる力をまとわせるのではないでしょうか? 

かつてブルーベリーケーキをいただきながら、奥様が美しい瞳を見開いて仰った言葉が忘れられません。

「蝶が蛹から孵るとなると、その間 -- 夜明け前からずっと -- もう夢中で見て、朝ご飯のテーブルもそこまで持ち出して、うわあ動いた!なんて感動して、朝ご飯が何時とか、人間の生活を忘れちゃって。夜もフクロウやらトラツグミやらが鳴くと、それでぱっと目覚めてそっと探しに出たり・・・ 都会に住んでいたときは、ひっきりなしの車の音や近隣の家の音が大きくて、それになれちゃっていたけど、ここに来てから、もう、感性がパアーッと開いてきて、聞こえなかった自然の音にびくっとしたり。
 自然のリズムに、人間の方が合わせるようにして、生きている。
 どんどん、どんどん、自然を感じ取れるようになっていく。」


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雑木林の春 (2)sanctuary候補地の検分

コゲラ

コゲラ(K氏撮影)

八郷のS先生を訪れた日の午後、my bird sanctuaryについての拙い説明を受けて、先生は即座に現地に言ってくださると請け負いました。

運転がやや苦手なわたしですが・・・マイカの入った濃いブルーの愛車Tigra(OPEL)は、後部座席身長180センチ以下というサイズながらがんばってS先生をお乗せして、笠間の候補地に向かいます。八郷から笠間に向かうには、吾国山への結構急な山道を越える、道祖神峠を通らなければなりません。ただでさえ、きつい運転にちょっと緊張が加わりましたが、何とか無事乗り切りました。

笠間の市街から里へ向かい、里から農道をうねうねと登って、

「まあ何て長い入り口!」

と言われつつ、早春真っ只中の現地まで無事に辿り着きました。

いつ訪れても、閑静さに満たされたこの地。前に来たときよりも芽吹きの勢いや、水のぬるみ方が増しています。土地交渉がどのように進んでいるかを説明しながら、現地を散策します。

S先生は周辺を見渡し、早速「あ、あるじゃない」と、わたしの大好きなニワトコの木を見つけました。うわ、先生が今、わたしのためにご自分の庭で育ててくださっている苗木よりも、大きい! (自分で見つけられなくて、なさけない)。

さあ、この地に付いて、どんな印象を抱かれたのでしょう? 

恐かった最初の一言は、とっても嬉しいものでした。

「この辺(現地の奥)は、サンコウチョウがねらい目ですね」

サンコウチョウは日本の山地には夏に渡ってくる渡り鳥。源流沿いの深い樹林に棲み、昼間でも暗いような日陰を好み、珍しい上に出逢うことのとても難しい野鳥です。オスは、紫色がかった黒色を主としたからだで、目の周囲や嘴の明るい蒼がとても綺麗です(地味なメスも可愛いけど)。そして、他の鳥には無い特徴が、オスの長い長い尾 -- ひらひらさせながら、飛ぶそうです(わたしもゆっくり眺めたことがありません)。それと、有名なのが「月、日、星、ホイホイホイ」と鳴くと”聞きなされて”(注)いるその鳴き方でしょうか・・・
 大ファンの多い鳥です。それと同時に、東南アジアから小さなからだでがんばって渡ってくるのですが、その数の減少が心配されている夏鳥です。

珍しい鳥が見られることが目的とは全く違うけれど、この地にサンクチュアリを築けることによって「サンコウチョウが守れるかもしれない」--いやちょっと言い過ぎ、サンコウチョウががんばって渡ってきてくれたとき、「ここなら大丈夫。安全だよ」と言えたら、いいなあ--というのは、う~んと大事な指針です。

S先生の眼力はその後もすごくて、「ここは、ジョウビタキよりもルリビタキがいるでしょう」(--当たり!)などと、生態系の予測がぼんぼんと飛び出て来ます。一年を通して、当地を見てきたわたしなのに、比べ物にならないよ~。
 そして、いつも苦労して“藪こぎ”をしなければ入れなかった現地の奥地に二人で入りましたが、何と楽に通れる道まで見つけてくださったのでした。「どうして分かるんですか?」と尋ねても、[長年の経験だよ」。

そして、奥地上空は「ここなら、オオタカ、ノスリ飛ぶのがじっくり観察できますよ」(観察小屋を工夫しなさいと言われました)。

良いことだけではなくて -- 分かってはいることですが -- 現地でS先生が何かを拾い上げたのですが ・・・ ハンターさんが使ったまま残していった薬莢でした。予想できたとはいえ、う~ん、猟期のときが来るまでに、どうすればいいか知恵を絞り、気力を養わなければ。
 自分の所有地になったところで、キジ等を守るのは至難の業に思えます。鳥も鳴かずにじっとしていてくれればいいのに・・・ (じかに鳥たちにこう伝えられない限り、人間宛てに、命への溢れる思いをメッセージにした、あまり反感を買わない、たて看板を立てようと思っています)

奥地の沢を歩いて、それから現地の裏側の雑木林も検分して、見つけた木はリョウブ、ヤマザクラ、ヤマコウバシ、クリ、エノキ、コナラ、シラカシ、ネジキ、ヒノキ、アオキ(大木があった)、カエデの一種(?)、など。畑地にはタネツケバナ、オオイヌフグリがあり、沢にはセリがあって、ほんの少しだけ、摘みました。朝よりはずっと、わたしにも植物の素顔が見えてきています。

藪(シノダケが中心)の中でコジュケイが鳴きます。奥の林には、エナガ、シジュウカラ、コゲラの混群がいて、見上げていると近くまで来てくれました。

この子らと、友だちになりたい!! 

サンクチュアリが出来たら、観察ノートに鳥の生態や行動をびっしりと書き詰めていきたいと思っています。特に、個の鳥を識別できるようになって、毎日毎日の繰り返しの中で、その個々の鳥の生活を身近に学んでいくのが夢なのです。コジュケイやエナガは、一羽ずつちゃんと向き合いたい候補の鳥ナンバーワンです。

S先生を見ていると、ご自分の雑木林で、たとえば一羽のアカゲラが本当に恐れず近くまで来て、好奇心たっぷりに観察している(=S先生やわたしたちが『観察されている』)様が、「友だちになっている」ように見えます。

全体を通して、S先生のご感想は、

「う~ん、ここならいいんじゃないですか」

ただし、

「まだやり直しが聞くように、とりあえず少しの土地から始めてみてはどうだろう」

というご助言つきです。ご一緒して戴いて、いろいろとお話をして、これまでよりも深く、今しようとしていることが納得できました。うん、大丈夫、GOです!



注:聞きなし: 鳥のさえずりなどの節回しを、それに似たことばで置き替えること。

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雑木林の春 (1)冬の樹木の顔

鶯の歌が、瑞々しく潤ってきましたね。

大学入試の仕事をした日曜日の代休がとれて、久しぶりに八郷のS先生の雑木林まで行って来ました。今回は my bird sanctuary 候補地の今後の土地交渉の進め方について相談するのが目的です。そこで息づいている自然や麓で暮らしていらっしゃる地元の方や地主さんと、調和を乱さずにサンクチュアリの創立を目指したいですが、知らない土地に入って譲っていただけるかお願いするのですから、そう簡単ではありません。細々とした配慮をするにしても、その中核にきちんとした考え方と凛とした気概を持っていなければ。
 S先生のご経験、それにお智慧と眼識と行動力に助けていただくことにしました。
 それにそれに ・・・ 春が咲き誇るのも間近というこの季節、雑木林に出かけて遊ぶのは、ワーッ本当に楽しみ!!!

「朝陽さす雑木林を眺めながらご一緒に朝食を」とお誘いを受けて、早起きして、筑波山の朝日峠越えをしました。途中、筑波山を登るときは、新芽の吹いた樹木たちが朝陽を浴びて、もこもこと盛り上がるように耀いていました。朝陽の暖かそうな光と遊ぶのは、山の色 -- 白、青磁色、薄緑、浅黄色、ロビンズ・エッグ・ブルー、濃い緑(針葉樹)、赤、えんじ、モーブ色、茶色、黒に近い土の色・・・ なんとも精妙で繊細な色合いが、パッチワークのように見えます。
 峠に入ると、反対側(八郷側)の斜面には、まだ雪が残っているのに、木々たちは「春だ! 春だ!」と色めきたっている感じです。水ぬるみ、山潤い、色鮮やかな樹木を縫って、冷たいが冬とは違う風が吹き抜けています。

八郷のS先生の雑木林に到着したのは8時半。お天気を心配していたのに、樹木の間からは見えるのは、青い澄んだ空で、風も思ったほど冷たくありません。早速、雑木林を硝子越しに見ながらの、なんとも贅沢なモーニングタイムが始まりました。前日の夕方購入した焼きたてドイツパン、胡桃&ブルーベリーパン、ブリオッシュ、それにちょっと贅沢にメキシカンマンゴー、パパイヤ等を持参して、パンと、ヨーグルトと、サラダとフルーツに、S先生こだわりの美味しい紅茶の朝食です。
 美味しさもさることながら、ここでの朝食の醍醐味は、<双眼鏡が手放せない>ことです(わたしの場合、図鑑も・・・) そう、ゆっくりとした時間の中で、飛んで来てくれる鳥たちの観察が主役、それに野鳥や樹木の近況についてのお話が沢山織り込まれ、まるで自然や鳥たちを楽しむことでおなかがいっぱいになっていくような気になります。美味しいパンを一口、というときに小鳥たちが飛来したり水浴びしたりして、パンを忘れてしまうこともままあるのですが。

そうそう、今回ちょっと気になったのは、その朝食のテーブルのある窓硝子です。部屋に入るなりS先生が見せてくださったのですが、白いべたっとした模様が入った、大きな痕跡が残っています。そして、硝子の中央には、光に反射する金と銀のテープが貼ってあります。

「ハイタカなんですよ」

そう、硝子に野鳥が激突してこんな跡が残るのです。それにしても、ハイタカという中型の猛禽類のぶつかった後は・・・うわあ、激しい、可哀想、た、たいへん。

「ここと、ここが目。これが嘴。これが両翼で・・・」
「激突して、どうなったんですか?」
「以前お見せした、ハヤブサのときは即死だったけれど、ほら、ここに両足の後があるでしょう。多分、直前に足でブレーキかけたんじゃないかな。下に落ちて、それから垣根の上でしばらくじっとしていったけど、飛んでいった。大丈夫だった様ですよ」

ホウッ・・・(溜息)でも、怪我してない? ちゃんと普通に生きていける? 
心配だなあ。

「ほら、この下に、これは小鳥のぶつかった跡ですよ」

うぐう・・・

「この時期は、多いんだ。ちょうど雑木林が透けて、光が当たると、硝子が反射してその向こうにも雑木林があるように見える。林に面した家や別荘はどこでもそうだし、役所とか公民館とか窓の広いところは、沢山ぶつかっている」

だから、金と銀のテープを窓から下げて、光を反射させて、ここからは林じゃないよ~!!と警告しているわけです。

「ハイタカだからぶつかったんだよ。オオタカなら、林の上を飛ぶでしょ。ハイタカは、林の枝の間をものすごいスピードで、うまく舵取りしてからだを傾けつつ、滑空して獲物を追うんだ」
と両手を広げて、滑空ポーズをしてくださるS先生。
「どんな鳥がぶつかるんですか。もしハイタカとかツミなら窓の真中とか上側に覆いをするとか・・・ 林床にいる鳥たちなら、こっちへ飛び立たないように、とか・・・ 以前、トラツグミ(林にいる比較的大型の夜行性の鶫)がよくぶつかるとか、仰っていたけど)」
「どんなのでも、ぶつかるよ」

うわ~野鳥との共存エリアのある小屋を作りたいわたしは、どうすればいいのさ? 理想としている1960年代イギリスのレン・ハワードさんの家では、シジュウカラからの親が若鳥に、わざと硝子越しに呼びかけ、「これは窓だよ。通れないし、ぶつかるよ」と教えている観察記録があった。が、うちでも未だにgaeaちゃんは空中戦のように飛んで遊んでいて、姿見(=鏡)にぶつかっちゃうしなあ。

別荘地や大きな硝子のある役所・公民館・企業の建物で、よく哀しい話を聞きます。S先生のところのハイタカは回復して飛び立ったけど・・・ぶつからないためには、S先生のところのように、硝子のあることを知らせる人工物や、小鳥の場合は猛禽類のステッカー(猛禽類=餌食になる→逃げる)、そして以前、日本自然保護協会の自然観察指導員の講習会を受けたときには、企業の建物のように大きなぴかぴかの硝子だけがある側面には、庭木をまばらに植えて鳥が急進してくるのを防いだ話も聞きました。
 ともかく、この時期だけでも、みなさん気をつけてあげてください。

*****

幸せな朝食の後で、 my bird sanctuary の近況について説明して、ご相談しました。結局、午後に現地に行って下さることになりました。その後、早春の雑木林を散策しました。

最初、林に入ったときは、シュンランなどが芽吹いてはいますが、林床は枯れ葉が積もり、樹木たちも固い芽が見られるだけで、何を観察してよいか分かりませんでした。S先生が、

「これはシラカシ、これはシデ、これはコナラ、これは・・・」
と教えてくださっても、

 ”みんな裸木じゃあ・・・”とピンと来なかったのですが、

「葉も無いし、木の肌だけでどうしてわかるんですか?」
の問いかけに、冬の樹木も、いろいろな木を段々と見慣れてこれば皆違うのだ、と教えていただきました。

「ちょうど、ヨーロッパにしばらくいると、あ、この人は○○系の人だな、この人は△△の方の人だな、と人の顔が見分けられるようになるでしょう。あれと同じですよ」

なるほど、そうかもしれない。ラテン系かゲルマン系か、とか、この人は多分ドイツ人かオランダ人だ!という眼鏡を使えるようになったのには、しばらく時間がかかった覚えがあります。経験が要るのです。そして目が慣れてくるのです。

S先生は、樹皮の特徴(色、模様など)や枝ぶり(まっすぐか、枝分かれしているか、ジグザグか、など)、それに木に残っている実や枯葉を挙げて、ひとつひとつ特徴を示してくださいました。

そうして、ようやく、しばらくするうち、
「これは・・・ナツハゼですね」  HIT!
と何となく、単なる裸木ではなく”その木の姿”と出逢えるような気がしてきました。ううむ、枯れた感じの樹皮ばかりの木がしていたが、その中にも薄い明るい薔薇色みたいな色の層が含まれている感じがして、その上にゴツゴツの釉薬のような肌がくっついているのがナツハゼだな。

この時期の広葉樹で、ただ独り、赤茶色の枯葉をびっしりとつけたまま立っているのが、ヤマコウバシ。これはそれで識別決まり! (でも、どういう気分なんだろう、ヤマコウバシは)

渦巻状の新芽が膨らんで今にもその渦巻きが崩れて開かんばかり、色は暗いグリーンに芽吹き特有のむずがゆいような紅色が混ざっている、その -- なんとも妖艶な芽吹きをする細い枝の木は -- 憧れの尊敬するニワトコ! ニワトコの新芽は、天麩羅にすると美味しいとS先生がおっしゃっていましたが、こんな瑞々しく、艶やかで、素敵な造形を摘み取ることなんてできないよ~!

その他、葉っぱの新芽と花芽とが同時、あるいはどちらかが先に出てきて、両方の芽の違いが観察できる樹木もありました。なかなか奥が深い。

いいもの少ししか見つけられそうに無かった雑木林が、S先生と歩いているうち、この季節だけの様々な姿をあらわす、生き生きとした声を響かせている林となってくれていました。

樹皮(渦)

樹皮(赤)


そう、樹皮は楽しい!
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春の息吹

年明けから、my bird sanctuary 候補地の土地の交渉に、こころある不動産屋のKさんが当たって下さっています。今年に入ってから、仕事も、体調も大変な状態で、でもそんな時だからこそ、こころの松明を消さないでいたくて -- 連絡を心待ちにしていました。
 しかしながら、売りに出ているわけではない、静かな里山の土地の地主さんに一人一人当たって、こちらの(言わば勝手な)希望を理解していただき、協力していただけるためには、本当に時間がかかるだろうとも考えていました。

先々週、ようやく連絡が入って、先週、近況報告を伺いに候補地まで出向いてきました。予想した通り、Kさんは、地主さんのところに足を運んで、随分と骨折って下さっていました。誠に感謝に尽きない気持ちです。

とりあえず、どの地主さんの土地に関わって、どういうお願いをしたいか、このままGOでよいのか、どんな問題が起きた場合にはSTOPするのか、を話し合い、気持ちをお伝えしてきました。

やはり、地元の方が代々所有されている用地を分けていただくのはそんなに簡単なことではありません。また、話し合ううちに、このまま開発されないで自然が残されていくなら、山暮らしに不慣れなよそ者(=わたし)が敢えて強引に手に入れようとすることは間違っている気がして、再び迷いも出ました。キノコ採りの人はともかく、メジロ捕りの人が出没するという話も聞き、気持ちもたじろぎます。

わたしに本当に何かできるのでしょうか? 

いや、弱気になっている場合ではありません。GOかSTOPかも、わたし独りのエゴから生じた判断で決めるのではなく、もっと大きな流れの中で決まっていくでしょう。命に対する溢れる愛や、この里山の自然と、自らのうちにある自然との美しい調和だけを見据えて、初心を貫きましょう! 小鳥や樹木たちと繊細に生き生きと対話することや、自然のために何ができるかは、まだまだ学ばねばならないけれども・・・

雑木林や草地は、きっともうずっと前から、芽吹きの準備をしているのでしょう。土の中の蠢き、勢い、そして芽吹きのため根や樹幹を通る水の流れ、天の奥、ずっと高く遥かなところから光を受けて、真冬の頃よりぐんと大胆に、深く気持ちよく呼吸をしようとしている植物たち・・・。地下にいる生きものたちも、枯草や樹皮に宿る虫たちの卵も、厳寒を耐え抜いて生き延びた鳥たち・動物たちも、ずっとこころ待ちにしていた春が来るのです。

候補地近くに立つと、雑木林を吹き渡る風は、まだとても冷たいです。
でも、何故か、どこか、真冬の頃とは違うでしょう? 
どこが違うかは、正確に指摘できないけれど、春を迎える深呼吸をしていると想いませんか?

西側の雑木林

(候補地の雑木林は、持ち主の方のご迷惑になるので掲載できませんが、候補地近くは、こんな感じです)
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