FC2ブログ

hearing the unheard voices

小鳥たちと対話し、自然と人とが調和できるバード・サンクチュアリを創立しています。http://homepage2.nifty.com/birdsanctuary/index.html

奇跡

冬至を過ぎて、この空間の‘澄み切り方’がこれまでにないほどとなりました。

色づいた檀の灰色がかったピンクの葉や、カエデ、クヌギの弦楽器のような赤茶の葉、シデの樹の葉の乾いた茶色の葉など、美しい色合いで
ゆっくり静かに落下し始めています。柿、千両や藪柑子、南天、コマユミ、ガマズミに紫式部、龍のひげ -- 朱や赤や紫や黒の実の色合いが美しく、その実も少しずつ野鳥たちに食べられてゆきます。


昨年の冬に一羽の冬鳥、ジョウビタキ君と友達になることができました。

鳥たちとの交流の庭に出ると、後を追って餌台までやってきて、こちらの声に合わせて鳴き交わしていました。凍てついた朝や雪の日は、いつも心配でしたが、スズメやアオジたちと軒下で暖をとり、外に出て呼ぶところがる毬のように、あるいは真っ直ぐに引いた矢のように、弾んで飛びながら、すぐそばまで着て無事を知らせてくれました。

おなかがすくと、わたしを呼びます。

空腹でない時も、山作業をしているとふと声がし、近くにいることをわざわざ知らせて、挨拶してくれます。

図鑑では、ジョウビタキの鳴き声は「ヒッ、ヒッ、と鳴き、頭を下げ尾を細かくふってクワッ、クワッと鳴く。秋、渡来した直後にはよく鳴く」(高野伸二 『フィールドガイド日本の野鳥』 日本野鳥の会)などと説明されます。わたしがバードウォッチングを始めたころは、「ヒー ヒー カタカタ」と習ったかな。ジョウ君は、どちらかというと舌うちで‘チャチャ チャチャ’と音を出すような声を上げ、ご飯を目の前にしたり、おなかがすいた時は‘ヒー ヒー ヒー’と勢い込んだ(笑)鳴き方をします。‘チャチャ チャチャ’には、わたしも舌うちで‘チャチャ チャチャ’を返し、それ以外には日本語で(!)「ジョウ君! おはよう!」「おなかすいてたの~!」「寒いね~」「う~ん! 元気だね」等々、声をかけます ―― ジョウ君はこちらを見て真顔で聴いています(笑)。

距離は、2mくらいだったのが、1mほどとなり、餌台の近くでは触れられんばかりになりました(勿論、脅かさないよう、こちらはそっと静かにしか動きません。)


渡り鳥が帰る季節、三月末になると、わたしは東京との往復のたびに、一期一会の出会いに気もそぞろになりました。ある日、いつも彼が独占している庭に、二羽も三羽もジョウビタキの雄が集まり、(いつものご飯も他の仲間に取られ気味で … )その仲間たちと一緒に、翌朝にはいなくなりました。仲間と集まって、群れとなって南へ帰っていったのだと想いました。

図鑑で、ジョウビタキの群れは遠くチベットから中国東北部の方向まで渡って
ゆくのだと知りました。何という遠い距離! 無事を祈らずにはいられないけれど、来年戻ってきてくれたら、それは奇跡に近いことだろう、
わたしはきっと泣くだろうと思いました。

この秋の終わりに、何羽かのジョウビタキの雄と雌が、一羽ずつ訪れ、ここで一休みをしては、さらに南へと通過していきました。期待しすぎないように(昨年の春が最後の別れだったと嘆くのが怖いから)と気持ちの予防線が働きつつ、一羽一羽を見送りました。ジョウ君は … やってくるのかしら … ?


11月末の朝、一羽の雄が飛来していて、鳥たちとの交流の庭で紫式部の枝に止まり、そこから餌台の上におりました。「ここにいきなり止まるなんて、もしかして  … ジョウ君?」と心ははやりましたが、確かめることはできません。‘チャチャ’と呼びかけると、からだを大きく動かして尾を振ってくれて … 何かが響きます。

水戸が氷点下になった数日前、もういいだろうと、餌を買ってきて
(自然界に十分に食べモノがある間は、人工的な餌付けは避けています)
餌台に置くと、、、、

すぐにそのジョウビタキが飛んできて、ほんの目の前にいるのは、やっぱりあの友達でした。

昨年の冬に比べ、胸の綺麗な橙色が少し濃くなっていました。
昨年の冬のように、車のミラーに映る自分の姿を他の雄だと勘違いして、車をフンだらけにすることもありません(少し大人になったのかな)。

でも、遥か彼方からはるばる戻ってきてくれたのは、やっぱりあの友達でした。



奇跡が起きました。

2003年に‘ほんの小さな土地でも、自然の命たちのためにずっと守られていく空間を創り、自然と共生・調和し、鳥たちと対話して、その空間を響かせ広げたい’と希求してから、様々なことがありました。未熟さゆえの幾多の失敗、挫折、絶望 ―― うまくゆかない、様々なことが大きすぎて圧倒されそうになることも正直在りました(今も、、)。が、ジョウ君と再会できたことは、マイナスのこと嫌なこと全てを消しってあまりあるほどの、奇跡です。

こんな小さな、綺麗なことりが、遠くチベット、中国東北部で生まれて渡ってきてくれて、秋冬に友達になってくれて、また翌年ここを信じて頼って戻ってきてくれるなんて ―― !! 自然と仲直りするためにわたしたち一人一人にできることは、小さいけれど、小さいなんてものではない遠大なことでもあったのです。


joukun1

joukun2
 (ジョウ君 K氏撮影)







このページのトップへ

Search

Information

sumiko

Calendar

11月 « 2015年12月 » 01月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Archives

Categories

Links