FC2ブログ

hearing the unheard voices

小鳥たちと対話し、自然と人とが調和できるバード・サンクチュアリを創立しています。http://homepage2.nifty.com/birdsanctuary/index.html

色、光、音、振動 ・・・ 電流 ・・・ 接近と接触      ~海の中のコミュニケーション~

夏季休暇3日目、最終日となってしまった。
「積読(つんどく)」となってしまっていた『NATIONAL GEOGRAPHIC』誌を片付けながら読んでいたら、2005年5月号の特集にサンゴ礁の生物についての特集があり、興味深かった。

「サンゴの海の万華鏡:こんなにカラフルなのはどうして?」という標題で、見開きのページには、本当に目にも鮮やかな魚・シャコガイ・ヒラムシやウミウシ・ヒトデ・甲殻類等のカラー写真がパッチワークのように散りばめられている。コーラルレッドやコバルトブルーや、金色に近いイエローや発光する紫、パロットグリーン・・・万華鏡さながらだ。

この記事によると、「間違いなくサンゴ礁は、世界でいちばんカラフルな場所だろう」ということだ。そして、その理由というのが、

  サンゴ礁外の海は、深くて光が届かなかったり、海水が濁っていたり
  するので、生き物は視覚以外の手段、つまり嗅覚や味覚、触覚、聴覚で
  コミュニケーションを図る。しかし日光が降りそそぎ、水の透明度が
  高いサンゴ礁では、もっぱら視覚が活用される。

  自身に視力があってもなくても、生き物たちは鮮やかな色をまとう。
  しかもその目的は、交尾相手を誘ったり、敵を威嚇するだけではない。
  獲物を捕まえる、天敵の目をくらます、身を隠す、さらには能力を
  アピールするときにも色が使われているのだ。  
  (NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版 vol.11, no.5 p.71)

カラフルなのに「目をくらます」「身を隠す」? ―― この記事によると、人間が見る水中の世界と、魚たちが目にしている水中の世界は全く違うという。魚の目を調べ、そのタンパク質(視物質)や光感受性を分析し、何がどんな風に見えているかを探っている研究者たちによると、ストロボ光で照らすと鮮やかな赤やピンクのサンゴ礁は、自然光の下では、青い色調が目立つ全く違う世界として映し出される。青い世界では、これらカラフルな海の生き物たちも、姿をくらましやすいのだ。

サンゴ礁の生き物たちは、さらに、状況に応じて自在に体色を変える。その上、魚の目は、光の状態がたえず変わる水中に適応しているという。

読み進んでいくうち、もう、何が何だか分からなくなった。
結局、どこで、誰が、何色に見えるんだろう? しかも、誰にとって?? 
この世界の色は、鮮やかなのか、深い青なのか? 


海の魚たちに関して言えば、これまで、主に彼らは聴覚を使ってコミュニケーションをしているのだと思っていた。

魚たちの水中からの声は、時にはうるさいほどだという。魚たちは体の様々な部位から様々な音を出す。人間よりも低い周波数の音でも、彼らには聴こえるという。そして、水中の声は、(1)仲間同士のコミュニケーション、(2)違う種類の魚に対して伝える情報、(3)魚の発する音を違う種類の魚が利用すること、などに使われると想定されている。メッセージは、一緒に泳ぐために、縄張りを知らせるために、威嚇のために、発せられる。また、(3)については、サメなどが病気やケガで弱った生き物を感じ取るような場合だという。

海底の世界は、静かな、沈黙の世界などではないという。
ハンス・ハスという人が、水中にマイクを入れたときに聴いた音を次のように表現している。「どよめき、ゴロゴロ転がすような音、鉄の鎖をガチャガチャさせるような音、衣ずれのような音、そして合い間には、笛のような音やシュッシュッといった音まで聴こえてきます。魚たちが、愛や不安や、怒りや、警告を、歌い叫んでいるのです」

もちろん、魚たちは聴覚だけでコミュニケーションをしているのではない。
深海の静かな世界では、光が重要な役割を果たす場合もある。発光することによって、仲間に合図を送るのだ。
 1930年、初めて海中600メートル以上潜水したアメリカの深海科学者ウィリアム・ビーブは、発光魚と出逢った体験を、次のように語っている。「私は、星座が絶えず生まれたり消えたりするような、これまでに想像さえもしなかった世界をかいま見た」

さらに、人間の想像力の及びもつかないような世界であるが、海の中で、電気ナマズは、電気で話をする。彼らは、物を見ることも出来なければ、匂いを嗅ぐことも、音を聞くことも出すこともできない。水の流れを感じることさえ出来ない。だが、電気の助けを借りて、餌を食べ、敵を脅し、障害物を避け、仲間を探す。
 彼らは、1秒間に300回のパルス(電流)を絶やすことなく送りつづけている。そして、頭は電池のプラス極、尾はマイナス極、プラスからマイナスへ電気の流れが続いていて、電場を作り上げている。この場の中に入ったものは、すべて流れを変える。それによって、相手を知ることが出来る。さらに彼らは、パルスを変化させて、相手を脅したり、メスを誘惑することも出来る。
 「たぶん、彼は電気的な恋の歌を空想科学小説のロボットのように“歌って”いるのです」(クレバー 『動物のことば入門』)

まだまだある。化学的な警報を発することの出来る魚もいる。
 淡水魚ヤナギバエの皮膚を傷付けると、すべてのヤナギバエは四方八方へ逃げるように泳ぎ去るという。化学的なサイレンが警告を発したのだ。

なかなか想像力をくすぐられるが、ともかく海の生き物たちは、様々なコミュニケーション手段をもっているらしい。

わたしが一等好きなのは、コウイカやツツイカのコミュニケーションについての話である。
 コウイカやツツイカ ―― 普通、人間にとっては「美味しい寿司のネタ」になってしまいますかね ―― は、皮膚の色細胞を巧みにコントロールしてコミュニケーションをとる。

水族館で、透明に近い彼らの美しいからだの色や流れるような泳ぎを見たことありますか? わたしは、息を飲みました。

彼らは、普段は体表をまだらの隠蔽色にしてカモフラージュしているが、健康なオスは、からだの色を輝かせたり、くっきりとした白黒の縞模様をからだに浮かび上がらせたりして、危険を冒してメスにアピールする。そして、種によってはオス同士からだをぶつけあったり、噛み付いたりという闘争をしたり、メスの前で求愛のダンスを踊ったりする。

  近くのオスを追い払うと、勝ち残ったオスは攻撃的な態度から一転して
  ソフトな態度に変わる。メスに近づき、視覚コミュニケーションから
  触覚に訴えるコミュニケーションへと手を変え、メスの目のあいだや
  腕を優しく撫でるのである。はじめのうちこそメスもはっきりした
  斑紋をひらめかせて警戒心をあらわにするかもしれない。しかしオスは
  メスに水を吹き付けたり、少し離れたりして警戒心をとこうとする。
  そしてオスが何度も近寄ったり離れたりを繰り返すうちに、メスは
  文字どおり腕を広げてオスを受け入れるのである。無粋なライバルが
  邪魔をしようものなら、オスは再び白黒の縞模様をくっきりと浮かび
  上がらせる。メスと並んで泳いでる場合なら、ライバルに面している
  側だけ縞模様に変え、メスに向いている面は性的にアピールする均一な
  灰色のままでいることもできる
  (ハート 『動物たちはどんな言葉をもつか』 p.35-36)

う~ん、わたしはここを読んで、もう、イカのオスにぞっこん惚れ込んでしまいましたよ。それ以降、イカのお刺身は一度も食べていません -- 食べられなくなってしまいました。

それにしても、やっぱり分からない。人間にとっては、カラフルなサンゴ礁の世界はあまりにも見事に美しくて、それなのに、その住人たちには彩なる世界が見えていないのが、もったいないような残念なような ・・・

【参考文献】
ウルリッヒ・クレバー 『動物のことば入門』 どうぶつ社, 1985.(自然誌選書)
スティーヴン・ハート 『動物たちはどんな言葉をもつか』 三田出版会,1998.
トランスアート「銀座の学校」 『龍宮城 のど自慢大会』 大日本印刷「銀座の学校」, 1999.


魚の壺

(オランダの骨董市で、家族が買ってきてくれた壺です。三面になっていて、この魚の絵の面のほかは、鹿の絵と花の絵が描かれています
このページのトップへ

Search

Information

sumiko

Calendar

11月 « 2019年12月 » 01月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

Recent Entries

Recent Comments

Recent Trackbacks

Archives

Categories

Links