hearing the unheard voices

小鳥たちと対話し、自然と人とが調和できるバード・サンクチュアリを創立しています。http://homepage2.nifty.com/birdsanctuary/index.html

MISSION 櫻 (3)

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白梅の花が咲きました。

二日前から一気に春の陽射しが降り注ぎ、春先特有の土埃を舞い上げる強い風が吹いています。

冬も大好きなのですが、今年は初めての bird sanctuary での冬越しに、しもやけで手がグローブの様に腫れたり、一部屋だけに集約して遠赤外線ストーブと1畳のホットカーペットというエコ生活でも光熱費が倍以上に跳ね上がってしまったり … で、温かになるのはほっとすることなのですが … 

正直、焦っています。


植えたい苗木、移植したい苗木、そのための環境や土づくり -- 3月いっぱいと思ってまだまだするつもりなのに、木々の新芽はどんどん膨らんで柔らかくなって、昨日から緑の芽をのぞかせ始めた木々が沢山あります。

春の光が濃くなり、気温も暖かになると、木々は多くの枝葉を伸ばしてできるだけ沢山陽光を受け止めようとし始めます。そのために根に溜めこんだ力を使っていきます。その力がまだ根に宿っているうちに、植え付け・移植してしまわないと、どうしても受けてしまう根のダメージに耐えるだけの力が残りません。

そういうわけで、天気・日程とにらめっこしながら、この春中に世話が必要な木の優先順位を考えに考えたら … 一日晴れて時間の空いた日が、迷うことなく櫻の最後のMISSIONに取り組む日となりました。

今度は、ヤマザクラではなく、野鳥の森をお創りになっているS先生から分けていただいた、野鳥の森生まれのウワミズザクラです。


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今回は、植える場所がここ(上の写真)だというのが、一番の挑戦です。bird sanctuary の土地は、大きく二層に分かれていて、普段苗木を植えているspace(小鳥と人とが対話する場所)や家のある場所から一段高いところに、隣の神社に続く孟宗竹の林があります。一段上がるときだけは、急な険しい山道のようなところを登らなければなりません。その急勾配の斜面は、南からの陽が良く当たる場所ですが、もともとイヌシデやシラカシの大木があったところに孟宗竹が陽射しを求めてどんどん根を張ってきて、木と竹とが陽射しを求めて絡まり合い、互いにやせ細って競い合っている場所でした。

今も斜面の多くは、上の台地に陽を入れられないまま木と竹が競っていますが、今回植える場所は、下まで降りかかっていた孟宗竹を切り払い、斜面から奥に陽射しを入れている場所です。写真のシラカシ(左の背の高い木)も、横枝が張れずに上に伸びた頭の部分だけに緑の葉っぱをつけて光合成をしていましたが、陽を入れてから、すっきりとした姿になってきました。

このシラカシの隣からやや下の辺りなら、自然の状態では日当たりのよい谷間や山の斜面を好むウワミズザクラも気に入ってくれそうだし、何よりあの木のふわりとした、光に溶け込むような白い房状の花とそこから透ける蒼空を下から見上げる嬉しさを楽しめるようになると思っていたところ … 苗木を分けてくださったS先生の口から、「あなたのところだったら … この木はあの斜面辺りが、合いそうですね」と教えていただき、密かに飛び上るほど嬉しかったです。

… ただ、難題は、この急斜面。その上、写真のように2~3年前に切ったものの、まだ土の中は絡み合うように竹の根が這ってカチンカチンに固いことが予測されます。(写真の通り、竹を地上1~1.5mほど残して切ってあります。これは、竹にこれ以上はえてほしくない時にするやり方で、可哀想ですが、地上部を残しておくと、根は水を吸い上げ続けるので、結局いずれは根から枯れてしまいます。地上部を残さないで切ると、根は生き続け、新しい若竹を伸ばしてきます。竹を間引いて美しい竹林に整えていきたい時は、後者のやり方を取ります。)

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植えるのは、定稙を待っている苗木たちの中でも一番大きい、真ん中の白い鉢のこの木。1m以上ありますが、まだひょろひょろと細いです。S先生の森の中では、大きな木々に挟まれてそのままでは大きくなれなかったので … ちょっと(かなり?)条件は悪いですが、うちならのびのび成長していくことができるので、喜んでいただいて参りました。

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上の林に上って、さあ、まず基礎です。1mほど切ってそのままとなっている竹と竹の間、自生しているサワラ、イヌツゲ、アオキなどの木々の間で、正確な位置を決めます。竹の切り株を一本だけ地上近くで切って、足場を作りました(植える場所の直下にある竹は切りません。植えた後の地盤は柔らかくなるので、雨風で緩んでもできるだけ土も苗も留まっていられるように。。。)

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予想通り、かなりの急斜面です。

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植える穴を掘ると言っても、斜面は切り株に足をかけて何とか立っていられる狭い足場 -- 土もカチンコチンでスコップの先が入っていきません。

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スコップで掘るにも、スコップの柄が邪魔になり、突き崩した土も掘り上げられずましてや斜面上のところに盛ることもできないので -- スコップで土を崩し、結局、片膝ついて手掘りです。斜面の勾配がきついので、穴はここまでで片面は50㎝の深さになっているのですが、斜面下方の面はまだ20㎝の深さしかありません。土はいわゆる山土なので、それほど質は悪くありませんが、ここでも何十年も分解されなかったらしいビニールゴミの破片が幾枚も出てきました。

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びっしり生えた固い竹の根を、鋏で一つずつ切っていきます。

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60㎝ほど掘れたところで、ウワミズザクラの鉢を上の林まで連れてきて --

さあ、ここだよ~! 日当たりも見晴らしもいい場所です。

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元の土と自家製腐葉土とを混ぜた土で、しっかりと固定して斜面でも水が流れ出ないように周辺を踏み固め、根から周囲にドーナツ状に水をかけました。ヤマザクラのときと同じように、青竹の支柱を深くうずめて、木を固定します。

固い芽のついているウワミズザクラ … 頑張って根を張って、春夏に枝葉を伸ばし、養分を存分に取り込んで、ここで生きていってくださいね~!



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その夜、根の辺りの急斜面の土が、雨風で流されないか心配になって、翌朝すぐ、根の周りに敷き藁を敷きに行きました。この藁で、急な気温低下が来ても根周囲の水が凍るのも防げます。大雨が来る前に、草の根が張ってこの辺りの土が固定されることを祈ります。







… 「復讐」という言葉は、‘木を植える’という行為にふさわしいと感じられないし、このブログで使うべき言葉でない気がするのですが …

これからの日々、(この下の土地で働いていて、)ふと見上げると、このウワミズザクラの木が枝を広げていて、木漏れ陽から透ける蒼い空を眺めている未来を想い描きます。春になると、ふんわりと大きな動物のしっぽのような白い花の房が幾つも柔らかな風に揺れて、とても、とても幸せな未来を --。


つくばに住んでいた時、そんな大きなウワミズザクラの木がありました。

時々通る、歩道橋の向こうに -- 歩道橋を渡ると、緑の葉っぱを一杯につけたその木の向こうに、青い空が透けて見えました。そこから降り注ぐ木洩れ陽を浴びて、憧れと尊敬の混ざった気持ちでその木に挨拶をしていました。

つくばに住んで間もない春、歩道橋を渡った時に、枝一面に白いふわふわの花の房をつけて光に溶け込まんばかりのその木に釘付になって、植物図鑑を調べて、「ウワミズザクラ」の名を知りました。蒼空の中で柔らかく、優しく花の穂を揺らしていた、大きなウワミズザクラ。

最初に出逢った、大好きなウワミズザクラ …


2003年あたりから、つくばエクスプレス(2005年開通)の開通のための急速な工事が進んだ時、つくば市ではあちこちで急激な山林の更地化が進みましたが(それが … sanctuary 創立へと向かっていく大きな契機となりました)、市内では考えてもいなかったほどの都市化に向けての土木事業が遂げられました。

歩道橋の近くのウワミズザクラは、ある日、突然、失われてしまっていました。

その時は、もう、すぐ引き返して散々哭くだけだったのですが、後で思い返すと、歩道橋が新しくされていて、階段に加えて自転車を牽いて通れるコンクリ斜面の回路ができていましたので、それを増設するために木が切られてしまったのだと想います。


-- 何故、全く気付けなかったのだろう? 道路を自転車が渡るためには、他にも近くに歩道橋も、信号機もあるのに、それでもあの木は切られなければならなかったのかしら? どうして、気づいてわたしは何かできなかったのだろうか? あの木があそこにいてくれることが嬉しかったのは、わたしだけではなくて、きっと歩道橋を渡る多くの人々も、同じだったはずなのに --。ああ、どうして少なくとも、いつも見上げているだけでなく、一度でいいから抱きしめて、あの木に「大好きだよ」と言えなかったのだろう!!



長い間、ウワミズザクラを植えることは、もう一度青空の中、光を浴びている木を見守ることは、その木が無意味に切り倒されることなく、守られ愛されてずっとそこにいてくれることは、夢であるだけでなく、わたしの償いでもありました。あのときの無念、人として残念な気持ち、やり場のない想い … 涙とあの罪悪感に対して … 暗い、暗い落ち込みに対して … 適切ではないかもしれませんが、ほんの少しだけ「復讐」を果たせた、と書かせてください。

そのうえで、それは、自然の草木や動物たちと調和して、何十年と生きてきた大樹に対して静かに敬愛を注ぐことのできる未来を、人として、今この地で、このウワミズザクラと一緒に、新しく出発(スタート)していきましょう!







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